屋久島の登山規制

屋久島の登山規制について

太鼓岩(登山規制対象)より宮之浦岳(登山規制対象)を望む
屋久島
屋久島は霧島とともに昭和9年に「日本初」の国立公園として指定され、平成5年には「日本初」の世界遺産として登録されました。しかし現在においては「日本初」の通年登山規制が町・県・国で検討されています。通年登山規制とはヤクスギランド・白谷雲水峡以外を危険区域として定めそれらの区域には入山規制するものです。また違反者には罰則のある法律です。もちろん年間を通して(通常は冬期のみ)またこれだけ広大な面積は日本初となります。今回は考えさせられる「日本初」です。2003年の屋久島トレッキング会ではテイク1を通じて多くの方と共に現在の屋久島の状況を知り、また今後の屋久島の自然と人間の共生のあるべき姿について考えたいと思います。
屋久島会ではテイク1を通じ、多くの方と共に自然と人間の共存について考えます。  森の風景2003/6/8黒味岳

南日本新聞(2003年1月8日登山条例についての社説)

【登山条例】囲い込みでいいのか
 屋久島での山岳遭難防止を目的とした罰則付き条例の検討が地元の屋久、上屋久両町で進んでいる。入山届や入山規制などを規定する。屋久島警察署が呼び掛けた。 1993年の世界自然遺産登録もあって登山者が増加、1けただった遭難事故の発生が2けた台で推移、昨年は死者1人を出した。危機感が背景にある。
 遭難防止の手だては必要だが、一面で条例は危険性を伴うことを念頭に置くべきだ。国民は共有の財産である国有林や国立公園には自由に入る権利を有しており、規制を加えるには相当の理由が必要であることを忘れてはいけない。条例が遭難防止の方策の一つであることは否定しない。事実、群馬県は谷川岳を対象とする遭難防止条例を、富山県は剣岳一帯を対象とする登山届出条例(いずれも66年制定)を持っている。 屋久島での町条例制定は、その両県条例を強く意識している。屋久島署が昨年秋、両町などに示した条例案のたたき台は両県条例を参考にしている。
  しかし、群馬、富山両県の条例と屋久島署が示したたたき台には大きな違いがあることに気付く。なかでも大きいのは屋久島での規制区域の大きさだ。 屋久島署のたたき台は、危険地区を屋久杉ランドと白谷雲水峡を除くすべての地区としている。これでは、登山者を一定個所に押し込める囲い込みである。屋久島は2,000メートルに手が届く山々と亜熱帯から亜寒帯までの植生で知られる。条例は、多様な屋久島の自然と、それをめざす人々への配慮も欠かせない。
 入山規制にしても、両県条例は1年を通して知事が禁止することができるが、基本的には冬山期間の規制が眼目だ。これに対し屋久島の場合は、悪天候や天候の激変が予想される場合などあらゆる事態を網羅、事実上の通年規制である。条例が遭難への警鐘になり、登山者自身の自己責任の醸成にもつながっているのも事実である。だから、条例の方向性を論議することに異論はない。
 ただ、気を付けたい。条例を論じるなら、屋久島を知る登山者をはじめ、より多くの知恵を集めることだ。机の上だけで屋久島がわかるはずがない。

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
屋久島会 登山計画 低山 低山 登山 登山 登山 登山 登山 登山 登山 登山 登山 低山

よく「自然と共存共栄」といいますが、その難しさを感じざるを得ません。TVで「下北半島のニホンザルの安楽死処分」という番組がありました。内容は、
・下北半島は陸の孤島で、今でもサルの好物「笹」は豊富にある
・一度サルが畑のリンゴや観光客のスナック菓子を食べ、笹より美味しい事を知った
・それ以降、笹より美味しいものを求めて民家の畑を物色するようになった
・被害を防ぐため行政は、若いオスサルを捕獲、安楽死させる作業を現在行っている
との事です。屋久島のサルがそうならない事を祈るばかりです。実際今の蜜柑の時期は、屋久島の農道にポンカンの皮が散らばっていたり、一部のサルが車のボンネットの上に乗ったりします。「野生動物が主人公、人間はゲスト」の屋久島に危機が迫っていると考えざるを得ません。
*ちなみに、和歌山県のタイワンザルを2年間で242匹安楽死させたということです。動物園から逃げたタイワンザルがニホンザルと交雑し、畑を荒らすためとの事。悲しいのは、サルは「畑を荒らすのが悪い事」だと知らないのに、「罪」の意識がないのに、原因を作った人間の手で捕らえられる事ではないでしょうか。
(以上 原田)

縄文杉  はらだ  投稿日: 2月26日(土)07時49分29秒
  次回の縄文杉の山行企画をアップしました。今回はどんな出会いがあるのでしょう。縄文杉で知り合って長続きするメンバーは多いです。福岡会も屋久島会が原点で発足し、そこで出会った女性同士が今では親友です。関西会もほとんどが屋久島会の卒業生。鹿児島会も屋久島会から鹿児島会に入るパターンも多く、近いため屋久島会に2回、3回のリピーターも数多い。
 といいつつ、屋久島登山の怖さを。四季山遊会では先月の1月9日に縄文杉に行きました。その1週間後に縄文杉と大王杉の間で事故がおこりました。東京から縄文杉に来た31歳の男性が、縄文杉のそばで凍死で発見されました。彼のデジカメにはしっかり縄文杉が映ってたとの事(下山中と推測)。男性は、ジャンパーに、ジーパンに、運動靴でした。屋久島の冬は、雨具を着るタイミングが遅れただけで、吹きつける風で体温が奪われ、疲労が急速に進みます。さらに体温が下がれば、意識を失い凍死します。また運動靴だと靴内が濡れ凍ってくる。特に単独山行は十分な装備と慎重な判断が求められます。山は大変な感動を私たち登山者に与えてくれるものであり、いとも簡単に登山者の命を奪うものでもあります。昨年1年間、山関連で、全国で230人の方が死亡もしくは行方不明となりました(うち屋久島は4人)。